第4回 ビールの作り方を知ろう

こんにちは、吞もかな通信運営部です! 第4回、第5回と続けて、ビールの基礎知識をお伝えしていこうと思います。

はじめに

皆さま一度は飲んだことが、あるであろうビール。そんなビールがどのように造られているのかご存知でしょうか。今回は、ビールの基礎知識として製造過程を見ていきたいと思います。

ビールの原材料

①麦芽(モルト)

麦芽とは発芽した麦(大麦)のことです。ビールは「麦酒」と書くので、麦が原料になっていることは知っていますよね。しかし、麦はそのままだとアルコール発酵ができません。一度「糖化」という段階を踏んで、でんぷんをアルコールに発酵できるような糖分に変えなければなりません。麦には糖化するための酵素が含まれていて、発芽することにより活性化します。そのため、アルコールにするためには麦ではなく発芽した麦(大麦)が必要なのです。

②ホップ

ホップとは独特な香りを出すために使う植物です。ホップの中に含まれる「ルプリン」という物質が色々な役割をしています。苦手な人が多い独特の苦みもホップからくるものですが、ビールの腐敗を防ぎ泡立ちがよく澄んだ状態にするためには必要な材料です。

③水

ビールの原材料のほとんどは水です。そのため美味しさを決める大きな要因になります。無味・無臭で濁りがなく化学物質や微生物のない清浄された水が、ビール造りに適しています。そのため、多くのビールメーカーは水にこだわって澄んだ天然水を使用することが多いのです。適した水が手に入るか否かが工場の立地探しにも大きく関わってきます。

④米・コーンスターチ

ビールの味を調節する目的で副原料として使用されます。

⑤糖質

糖質はアルコール度数を高くするために使用します。一部のビールは糖質を加えてアルコール度数を高くしています。

 ビールメーカーによって原材料の量や加工の仕方は異なるのですが、以上がビールの原材料です。では、原材料がわかったのでこれから製造過程を以下で見ていきたいと思います。

ビールの製造方法

①製麦

原料となる麦芽はビール工場内で作られていて、基本的には収穫したばかりの大麦は使わず、大麦を数ヶ月の間倉庫で保管して休ませます。製造のタイミングに合わせ水に浸したっぷりと吸収させて、10日ほど一定の温度に保たれた発芽室で定期的に大麦を混ぜながら発芽を促します。
発芽室で大麦の成長を止めて長く保存できるように乾燥させたものを「焙燥(ばいそう)」と呼び、これはビール特有の香りや色を出す目的もあります。その後、不快な苦みの原因の根を切り取り、濃色ビールの場合はさらに「焙煎(ばいせん)」をします。このときの時間や温度によって、ビールの香りや風味、色が大きく変わります。

②仕込み

完成した麦芽を細かく粉砕し、副原料の米やホップなどを混ぜて仕込釜で煮ていくことで「マイシュ」と呼ばれるお粥のような状態になります。このときに麦芽の酵素によってでんぷんが糖化され、それにあわせタンパク質もアミノ酸に分解されます。
十分に分解が進んだ「マイシュ」をろ過して固形分を取り除いたものが「麦汁」になります。この工程では澄んだ天然水など、きれいな水を使用することでビール本来の香りやうまみが引き立ちます。

③発酵・貯蔵

まず、仕込みの工程で造られた麦汁を発酵に適した温度まで冷やします。今回は大量生産の製造過程なので高温(15~25℃の上面発酵)です。適温になった麦汁に酵母を加え、酵母が活動しやすい温度を維持し、酸素を供給することにより酵母が増殖し1週間ほどで発酵が進み、糖がアルコールと炭酸ガスに分解されます。
発酵をするとビールの形にはなりますが、まだ味が粗く香りも未熟です。そのことから、発酵したばかりの麦汁を「若ビール」と呼びます。これを0℃近い低温で熟成させるのが「貯蔵」です。熟成中も残った糖分の発酵が進むため「後発酵」ともいいます。
後発酵では炭酸ガスを溶解し、不快な香り成分を他の物質に変えたりと、熟成することによりビールの味を整えていきます。

④ろ過

熟成されたビールから酵母などの固形物を取り除くことによって濁りのない透き通ったビールが生まれます。
ビールのなかに酵母が残っていると出荷後も発酵が進むため長期間にわたる品質を維持することが困難です。そこで、ろ過または熱処理により酵母を除去(不活性化)します。以前は、酵母を除去(不活性化)する方法として熱処理が主体でしたが、近年になってろ過技術が進歩したため、ろ過のみで酵母を除去することが可能になりました。

⑤パッケージング

最終段階となるのが瓶や缶、樽にビールを詰めていく「パッケージング」という工程です。ビールの品質が落ちないように酸素に触れさせず容器内に密閉することで、ビールの長期保存ができます。ビール工場から消費者の元へと高品質なビールを届けるためには必要で欠かすことのできない工程です。

まとめ

ビールを作るため、美味しくするために、色々な工程を経ていることがわかりました。メーカーさんや、醸造家さんのこだわりで美味しいビールが飲めるのですね。作ってくださる方々に感謝して、これからもビールを楽しみたいと思います!

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