第8回 本格焼酎 ー種類で異なる味わいー 

こんにちは、吞もかな通信運営部です。今回は、前回に引き続き焼酎について見ていきたいと思います。知れば知るほど、奥が深い焼酎。第8回吞もかな通信は、本格焼酎の種類についてです。

はじめに

焼酎と一口に言っても色々な種類や分類があるのをご存知でしょうか。種類が違うとアルコール度数や蒸留方法も変わってきます(第7回で詳しく記載しています)。今回はその中でも本格焼酎とはどのようなものなのか、どのような種類があるのかを見ていきます。

本格焼酎

今回は本格焼酎にスポットをあててご紹介してきます。はじめに本格焼酎とは、どのようなものか詳しく見ていきます。

◆日本で古くから行われてきた単式蒸留で仕込む。
◆「米や麦などの穀類」「芋類」「清酒粕」「黒糖」の4品目、または国税庁長官が定める49品目の原料と麹を使用する。
◆水以外の添加物を一切使わない。

上記のような規定があります。こんなに細かく決められているとは知りませんでしたね。では、ここから原料特有の香りと風味が楽しめる本格焼酎の種類を紹介していきます。

本格焼酎の種類

芋焼酎

芋焼酎の主原料米麹サツマイモです。サツマイモには多くの品種がありますが、主に鹿児島県や宮崎県で生産されています。焼酎消費量が多い鹿児島県は米作りには不向きな土地だったため、よく栽培されていたサツマイモが焼酎の主原料になりました。よく使われる品種は、大きくて皮が白くデンプンが多く含まれている「黄金千貫」や「ジョイホワイト」、「白豊」です。他に「紅さつま」や「紫芋」が主原料になることもあります。

芋焼酎は、蒸し焼きにしたサツマイモの独特な香りやソフトな甘みが魅力ですが、基本的にはどの品種を主原料に使用しても濃厚なコクと独特な香りがクセになります。

(*なかにはジャガイモが原料のものもあります)

麦焼酎

麦焼酎の主原料はその名のとおり麦麹(まれに米麹)です。過去には六条大麦や二条大麦が使われていましたが、現在はウイスキーと同じ二条大麦が主に使われています。

麦焼酎の造り方は大きく分けて、米麹と麦で造る伝統的な「米・麦製」と、麦のみで造る「純麦製」の2種類があります。麦焼酎は、麦を焦がしたような軽く香ばしいものや、ほのかにフルーティーな香りがするものもあります。麦焼酎は、スッキリとしていてキレがあり軽やかで比較的辛口タイプが多くなっています。また、リーズナブルな価格帯の銘柄が多いので、焼酎初心者の方でも気軽にサワーのベースやロック、水割りなど色々と美味しく楽しめることができます。

米焼酎

米焼酎の主原料お米米麹です。主原料となるお米の品種によって味わいが変わってきます。米焼酎や日本酒に適しているのは「酒造好適米」と呼ばれ一般的なお米よりも粒の大きな山田錦や五百万石、特に九州での収穫量が多いヒノヒカリがあげられますが、地元の原料にこだわりをもつ蔵元が多く、美味しいお米を求めその土地の特産米や食用として人気のブランド米(コシヒカリやあきたこまち)を使うことにより差別化を図っています。

米焼酎には、芋焼酎や麦焼酎のような独特な香りやクセはほとんどなく、麦焼酎よりコクがありやや濃厚で米の旨味と甘味が感じられる味わいになります。また、日本酒と間違えてしまうかのような透き通った味なので、米が主食の日本人の舌や食事にとても合うお酒です。

米焼酎初心者の方は米どころとして有名な新潟県や東北地方の銘柄から挑戦してみるのもいいのではないでしょうか。

黒糖焼酎

黒糖焼酎の主原料サトウキビ(黒糖とはサトウキビの絞り汁を煮詰めて固めた物)と米麹です。芋、麦、米はデンプンが主成分なので、麹の力を借り糖分に分解し発酵できる状態にしていますが、黒糖は文字通り糖分を含んでいるのでお酒を造る上で麹は必要ではありません。
では、なぜ敢えて麹を使うのかと言うと、麹を使わないと酒税法上で「焼酎」と名乗れないからです。黒糖焼酎は、「和製ラム」とも言われ黒糖の優しい甘さやリッチな味わいでクセが少なく焼酎の中でも飲みやすい種類として知られています。
酒税法で黒糖を使い焼酎を造って良いと決められているのは奄美大島や喜界島など奄美諸島に限られています。他の地域で造ったとしても黒糖焼酎と認めてもらえずスピリッツに分類されてしまう為、南国の希少な焼酎として親しまれています。希少なお酒を是非お店で試してみてはいかがでしょうか。

上記で代表的な本格焼酎を簡単に見てきました。法律で原料が定められている事や、芋焼酎は芋だけではなくお米も使用されていることはちょっと驚きました。

ちなみに芋焼酎は好んで飲まれる方も多いですが、苦手な方も多いのです。もし苦手であるならば、初めは麦焼酎や米焼酎から始めて慣れていくと徐々に芋焼酎が美味しいと感じられることでしょう。
本格焼酎は原料の香りや風味がそのまま焼酎に表れます。風味や香りを楽しみたいのであればストレートやロックがおすすめですが、お酒が苦手な方は、お湯割りや水割りなども良いと思います。最近ではソーダで割る「乙ハイ」も注目を集めているようで、「乙ハイ」は今まで焼酎が苦手だった方も「スッキリして飲みやすい」と、好評なようです。

まとめ

芋、麦、米焼酎の中には購入困難な銘柄もあり、購入できてもちょっと試しに飲んでみたいと気軽に購入できるような価格ではないものが多いのです。お店で試しに色々な銘柄を一杯から挑戦してみてはいかがでしょうか。

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